【恐怖の塾合宿 人間狩り編】
|
先日から「恐怖の塾合宿」というテーマでお送りしているが、本日はその2回目、「人間狩り編」である。
あの塾合宿の最終日の昼に華々しく、しかも該当以外の生徒たちには知らせずにひっそりと行なわれる慣例行事がある。
そう、それこそが「人間狩り」なのだ。
最終日のお昼に、ある特定の男子生徒たちが集合させられる。彼らは普段の塾での素行が不良か、この合宿中にとんでもないことをしでかした男子生徒たちである。
彼らを一室に集めたのち、彼らに対する罪状が読み上げられる。とは言っても、弁解の余地などない。黙って判決を受け入れるしかないのだ。そしてその判決は1種類しかないのである。
そう、それこそが「人間狩りの刑」なのだ。
おもちゃの空気銃やプラスチックのバット片手にニヤニヤしている教師たちに囲まれながら、男子生徒たちにこの刑についての説明が行われる。
「お前らは素行不良である。よって『人間狩りの刑』に処す。ただし我々は寛大だ。お前らに30分時間をやる。その間にあの山に逃げろっ! 我々は30分後から追い立てる。我々に捕まった奴はボコボコだ。逃げ切った奴は刑を免除する。」
これを聞いて皆は慌てふためいて逃げるのである。それを30分後から武器を片手の教師たちが「狩り」に出かけるのだ。
噂では逃げ切った猛者もいるらしいが、教師たちは何年もこの合宿地に来ているベテランである。皆が逃げそうな場所の見当は既についている。逃げ切るのは至難の技なのだ。教師たちはじわじわと追い込み、普段素行不良の生徒たちから受けているストレスをここぞとばかりに発散するのである。
・・・こう書くと、なんととんでもない塾だ!と思われるかもしれない。特に体罰にうるさい現在ではそう思われるであろう。しかしこの塾、非常にいい塾だったのである。大阪の下町発祥のアットホームな塾だったのだ。体罰は結構当たり前だったが、教師たちはバイトの人も含めて皆加減というものを知っていた。この「肝試し」も「人間狩り」も、生徒たちは楽しみにしていたのである。教師も生徒もどちらも喜んでいたのだ。今ではこういう形態の塾では経営が成り立たないであろう。昔は良かった。なんといってもあの塾の教室には
「授業中に喋った奴は『しばき』10発!!」
という掲示がしてあったほどなのだ。
体罰と暴力の境目はお互いの信頼関係にある。この塾、生徒たちとの信頼関係がどれほど教育に重要かを教えてくれた、まさに「生きた教科書」であった。
とは言え、この塾から得た教訓をブログ交流では生かしていない筆者に信頼感溢れるコメント・メールを期待してやまない。