【バレンタインデーの思ひ出 黎明期編】
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今週は時節柄、バレンタインデーの思い出でも語ろうと思う。最近のバレンタインについて書いても虚しくなるだけだ。いくら卑怯と言われようが、過去の栄光?にすがって生きるのである。昔話コーナーならピッタリではないか。第1回目の今夜は「黎明期編」である。
【黎明期】
実は筆者のバレンタインデビューは早い。あれは小学3年生の時である。不二家のハート型チョコレートがバカ売れし、バレンタインデーが認知され始めた頃だ。筆者の周囲の男子の間でも、「なんか2月14日には自分を好きな女の子からチョコレートがもらえるらしい」と大きな話題になった。
小学1年生の時には同級生女子と結婚宣言までぶち上げた筆者ではあったが、あの子とは離れ離れになっていた。しかし筆者には1人もらえそうな女の子が思い浮かんでいた。その子は明るく活発で、男子からも結構人気があった。きっと筆者の他にも狙っていた男子が多数いたに違いない。
バレンタインデーの放課後とは男子も女子も落ち着かないものだ。このなんともやりきれない瞬間を幼い筆者は初めて迎えたのである。
皆帰りそうになっていた。筆者はかなり期待して待っていたが、どうももらえそうにない。諦めて帰ろうと廊下に出た。その廊下の先から彼女が走ってきた。
「おっ!これは!?」
筆者は期待に胸をときめかせた。が、彼女は筆者の横を走りすぎていってしまった。
「ありゃりゃ・・・」
と落ち込みかけた時、彼女はいきなり振り返ってこちらに戻ってきたのである。そして、「はい、これ。」と言いながらチョコレートを渡してくれたのだ。
筆者は不二家のハート型チョコを期待していた。ハート型ともなれば、これは「好きです」の証に決まっているからだ。だいたい、当時はバレンタインのチョコと言えば不二家のハートチョコレート以外は考えられなかったほどの人気だったのである。だがもらったチョコレートを見て混乱した。そのチョコレートは
「じゃんけんチョコレート」
だったからである。グー・チョキ・パーの手の形をした3個のチョコレートが入っていた。
…ハートでなくてじゃんけん…これには何の意味があるのだろうか?何事も深く考え込むタイプの筆者はじゃんけんチョコレートを前に深く悩んだ。だが、その答えが出る前に、彼女はなんと引っ越してしまったのだった。
こうして筆者は小1に続いて2度目の悲恋を経験したのだ。
何はともあれ、バレンタインデーが認知されるや否やにチョコレートをもらってしまったのは事実だ。誇りたくもなる。しかし、この後は10年ほどの暗黒期に突入してしまうのだ。
次回「暗黒期編」は明日を待てっ!