HIMMEL AUF ERDEN
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クリスマスに映画を見た筆者は、翌日さらに文化的な過ごし方をせんと画策した。
実は今、チューリッヒにサーカスが来ている。まずはサーカスでも見るべし、と現場へ向かったのだが・・・
チケットは既に完売であった。
「明日なら少し空きがありますけどね」と言われた筆者はこんなことではめげない。すぐさま第2の目標へと切り替えた。
実は今、チューリッヒにミュージカルのようなものも来ている。ならばこれだ!と意気込んで現場に向かったのだ。
ミュージカルのようなもの、とは書いたが、この時点で筆者はその内容すらよくわかってかなったのである。まぁ、よく分かっていたら見に行く必要もない。分かっていないから見に行くのである。
そのミュージカルのようなものとはこれだ!

幸いなことに当日券もあった。しかし高い。一番高い席で95スイスフランもする。約8500円だ。しかも半分以上はこのクラスの席なのである。裕福でない筆者は下から2番目のクラスの席を買った。これだって50スイスフランもするのだ。嘘だと思うなら証拠を見せよう。

ちなみに下に写っているのはチョコレートである。これについてはサイドストーリーがあるのであるが、まだ語らない。少し待たれよ。
約2時間ほどのショーだった。内容はミュージカルとサーカスを足して2で割ったようなものだ。人間と動物がそれぞれ自慢しあうというメインストーリーで、その合間にサーカスのような曲芸やコメディショーが繰り広げられる。例えば動物が「人間は空を飛べまい」というと、人間の代表(上のプログラムで地球を抱えている彼だ)が「そんなことはない」と言って、華麗にジャンプする曲芸を紹介する、といったような流れなのである。最後には天の声で仲良くなるという筋である。
これは楽しかった。何故か動物の代表の狐の人以外は全てスイスドイツ語だったので細かい筋はさっぱり分からなかったが、サーカス並みの曲芸も豊富に見れたし、コメディショーも良かった。秀逸なのはプログラムに両手ピースのポーズで写っている芸人さんである。彼は面白い。すっかり毒されてしまった筆者は、アパートでも独り虚しく両手ピースのポーズを真似ているほどなのだ。
・・・さて、チョコレートの話である。
筆者がロビーに突入するや否や、プログラム売りのおじさんが近付いてきた。筆者はまず荷物をクロークに預けたかったので、その時は買わなかったのだ。クロークに行ったあとで、再びプログラム売りのおじさんのところへ行ってプログラムを買ったのである。
これがいけなかった。最初に買っておくべきだった。要らぬステップを踏んだせいで、このおじさんに完璧に覚えられてしまった。
途中の休憩でロビーに出て行った筆者は、まだプログラムを売り歩いているおじさんと目が合った。おじさんは「面白かったか!」と知人のように声を掛けにきた。い、いかん。完全に覚えられている。
アジア人が珍しいのか?とも思ったが、見回せばアジア系の人は少ないながらもいるではないか。それらの人はおじさんに相手にもされていない。やはり筆者は万国共通で覚えられやすいらしい。
ようやくショーが終わって帰宅の途につこうとしたときである。あのおじさんはさすがにもうプログラムは売っていなかったが、子供たちにチョコレートを配っていた。子供たちへのクリスマスプレゼントである。
その時、またもおじさんと目が合ってしまった。筆者は会釈して帰ろうとしたのだが、おじさんが猛烈な勢いで近付いてきた。
そして何故か、子供用のチョコレートを筆者に手渡したのである。
「このチョコレートはおいしいんだぜ!」というお言葉とともに。
・・・大人でチョコレートを貰ってしまったのは筆者だけだった。恥ずかしかった。おばさんとお子様には絶大な魅力を発揮している筆者であるが、どうやら筆者の魅力はおじさんにも通じるらしい。これはある意味危険だ。
・・・というわけで、何故か妙齢の女性からだけは人気がない筆者に妙齢の女性からの胸キュンもののコメント・メールをお待ちしている。