「Irrer Japaner」とはどういうことじゃ!
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言っておくが、筆者は温厚な人間だ。どっちかと言えばボーっとしている人間だ。常に笑顔は絶やさない、というか笑顔がデフォルトの顔である。39℃の高熱を押して職場に行ったら、「今日は何かええことでもあったん?」と聞かれてしまったほどの人間だ。その筆者が怒っているのである。これはただごとではない。読者の皆さん、心して聞かれよ。これを読む前に精神安定剤でも飲んでおいたほうがいいかもしれない。
この件について語るにあたり、まずはスイスでの携帯電話文化について触れねばならない。いや、別に触れなくても語れるのではあるが、筆者は前置きが好きなのだ。我慢して聞いてくれ。
さて、スイスでも携帯電話は物凄い勢いで普及している。筆者はスイスでは携帯なぞ必要ないので持っていないのだが、「持っていない」というと不思議そうな顔をされるほどだ。ただし、携帯の機能やマナーなどの文化は日本よりは数年遅れている、という感じだ。電車内での通話マナーも最近になって問題になってきたくらいである。日本は携帯先進国である。
日本では携帯の普及とともに立場を失いつつある公衆電話だが、スイスではいまだに大活躍である。駅などの公衆電話は時間帯によれば列ができているほどなのだ。しかも多くの人が携帯電話とにらめっこしながらダイヤルしている。
なんで携帯片手に公衆電話?と疑問の皆さん、筆者も最初は「ん?」と思った。しかもこんな奇妙なことをしているのは何故か南米系(スペイン・ポルトガル系)かアフリカ系のスイス在住外国人なのだ。最初は文化の違いか、はたまた外国人犯罪グループか、と妄想を逞しくしていたが、すぐに理由はわかった。
携帯の通話料金が高いのである。在住外国人には貧しい人が多い。だから彼らは携帯を着信専用にしているのだ。携帯からは掛けない。公衆電話の方が安いし、さらに料金が割引になるテレホンカードも売っているからだ。携帯とにらめっこしているのは、携帯に登録した電話番号を見ながらダイヤルしているのである。つまりはアドレス帳代わりというわけだ。
なら携帯なぞ購入しなければいいのに、とは筆者も思うのであるが、彼らは常に誰かと話していないと不安らしい。でも彼ら在住外国人は公衆電話であれ、携帯であれ、自国語で大声で口喧嘩しているのが常なのだ。常に、は言い過ぎかもしれないが、確実に半分くらいはそうである。話の内容はさっぱり分からないが、物凄い身振りを加えて大声で怒鳴っている人が圧倒的に多いのだ。なんでわざわざ電話までして喧嘩するのかが筆者にはさっぱり分からない。喧嘩するくらいなら電話しなければいいのに、と思うのだが、何故かそうはいかないらしい。
・・・うーむ、また前置きが長くなってしまった。
さて、スイスの携帯も着信メロディや待ち受け画像をダウンロードできるサービスがある。テレビでもよくこのようなダウンロードのCMを流しているのであるが、そのCMの中に、とんでもないものがあったのだ。
それはイラストの待ち受け画面と着信メロディのセットだった。例えば奇妙な動物のイラストの待ち受け画面に、その動物の発する鳴き声を模した着信メロディのセット、はたまたセクシーなお姉ちゃんイラストの待ち受け画面に、「アッハーーン♪」みたいな着メロのセット、という具合だ。
そのセットの中に「Irrer Japaner」と題したセットがあった。
ドイツ語なのでピンと来られない方も多いと思うが、これは英語に直せば「Crazy Japanese」だ。「気の狂った日本人」だぞ。こんな名前が許されるのか。
その待ち受けイラストは、眼が線でのみ表現された男性が、変にでかい麦藁帽をかぶっているものだ。この麦藁帽、東南アジアなどの農村でよく見られる奴である。しかも着信メロディは、恐らく中国語と思われる言語をがなりたてているだけのものだ。
つまり、イラストも着信音も、さっぱり日本とは関係ないのだ。どうもアジアを一括りにしてからかった上で、「気の狂った日本人」と名付けているらしい。
いくら温厚な筆者でもこれには激昂した。この命名、日本以外にすると問題になるからではあるまいか。「気の狂った中国人」にしてみろ。即座に中国から文句がくるに違いない。日本人なら何をされても文句を言わないだろう、と舐められているのではあるまいか。
在スイス日本大使館は何をしているのだ。小泉君は何をしているのだ。ただちに抗議すべきだ。馬鹿にするにもほどがある。日本の国民よ、黙っていてはいけない。言うべきことはきちんと言うべきだ。他のアジア諸国の諸君、日本人と名付けられてはいるが、要はアジアが馬鹿にされているのだぞ。
立てよ、日本国国民! 「ジーク・ジオン!」ならぬ「ジーク・ニッポン!」だ!!
ちなみにスイス国民の多くがこうなのではない。ほんの一部だ。筆者もこちらでは非常によくしてもらっている。日本のオリエンタルな文化にも興味津々だ。さらには、筆者は右翼でもない。平和主義者だ。ただ、意見はきちんと主張すべきだ、と言いたいだけである。筆者は日本およびその国民が大好きなのである。
おおー、今日は社会派のまま終わってしまった。暴走を期待していた諸君、次回以降にはきっと暴走するから楽しみに待ちたまえ。