週末コラム「殿ご乱心」: 【心の中のヒーロー】
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・・・実存した方、虚構の存在・・・とにかく、男なら誰しも「こうなりたい」と思っているヒーローが存在するのではないか。見ているだけで勇気をもらえるようなスーパースターが。
筆者の場合、歴史上の人物なら関ヶ原の合戦で散った「大谷吉継」、虚構の存在ならガンダムの「シャア・アズナブル」や「アナベル・ガトー」、はたまたお馴染みの「シャーロック・ホームズ」などがそれに当たるのだが、同時代を生きた実世界の方となると、もうこの人しかいないのだ。
そう、それは・・・
・・・おいおい、馬かよ・・・と思ってしまったそこの貴方、オグリを見くびってもらっては困る。思えばあの3年間、筆者はオグリとともに生きたのだ。バイト先の先輩に引きずりこまれて、初めてマトモに見た競馬がオグリキャップの中央デビュー戦「ペガサス・ステークス」だった筆者は、そのように運命づけられていたのである。
特に5歳(現馬齢表記で4歳)の秋のオグリキャップは素晴らしかった。イナリワンとの壮絶な叩き合いを制した毎日王冠(1着)、前が壁になって追い込んだのに届かなかった秋の天皇賞(2着)、もう届かない、と思った展開から奇跡的にバンブーメモリーをハナ差で交わしたマイルチャンピオンシップ(1着)、そして無謀な連闘にも関わらず、世界レコードで逃げるホーリックスをただ一騎驚異的な根性で追い詰めたジャパンカップ(2着)・・・。特にマイルチャンピオンシップのレース後は言葉を失い、ジャパンカップのレースではあまりの感動に放心してその日はろくに口も利けなかったほどだった。あれほど心を動かされることはもうないだろう。今でもこれらのレースを見ると涙が出そうになるほどなのだ。
杉本アナの名実況「負けられない南井克己、譲れない武豊」つき
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大川アナの「オグリキャップ、頑張れ!」の実況にも注目
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・・・見て貰ってもお分かりの通り、オグリのあの感動的なレース振りは実況アナウンサーにも伝播して名実況を引き出しているのである。当時伝説となった大チョンボ(勝ち馬の名前を完全に間違えた)をしでかしてしまった堺アナですら、オグリの毎日王冠では素晴らしい実況だったのだ。
筆者はこのオグリから大切なことを学んだ気がする。彼が筆者に示したのは・・・
・・・ことの崇高さである。結果よりも「過程」がいかに重要なのかを身をもって、無言で教えてくれたのだ。
この5歳のときの無茶が祟ったのか、6歳(現馬齢表記で5歳)のときのオグリは精彩を欠いた。安田記念には勝ったものの、宝塚記念(2着)、天皇賞(6着)、ジャパンカップ(11着)ではあの諦めない根性を全く見せないままに破れてしまう。もう彼は燃え尽きて終わってしまったのか、と誰もが思った引退レースの有馬記念。しかし彼はここで、奇跡とも言える最後の輝きを見せるのだ。
このレースの後、当時前代未聞の「オグリ」コールが沸き起こる
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・・・レースのレベルが低かったから、とか色んなことが言われているレースだが、そんなことは筆者にはどうでもいいのだ。このレースの直後、溢れそうになる涙を必死でこらえていたのはここだけの秘密である。彼はこの奇跡を通じて筆者の真のヒーローとなったのだ。そう、ヒーローには「奇跡」が必要なのである。或いは絶頂期での「夭折」が。テンポイントやトウカイテイオウ、そしてサイレンススズカのファンだった方々には、筆者の言わんとしていることが理解していただけると思う。
最後に一言言わせてください。
「夭折」には歳を喰いすぎた筆者は「奇跡」を起こすしかないのですが、
誰か、筆者に騎乗してムチを入れてもらえないでしょうか。
とは言え、筆者は実は「サド」なのですが。
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・・・Sの気がそうさせるのか、実は他馬を怖がって逃げる「牝馬の逃げ馬」が大好きな筆者から逃げ切ってみたい貴方からのコメント・メール・お誘いを切にお待ちしている。