2004年 10月 12日
アパート悲惨物語 第3章
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-前回までの要約-
(初めての方はカテゴリの「スイスアパートの悲劇」をクリックの上、序章からお読み頂けるとこれ幸い)
「ドケチな家主から、「お湯の使いすぎだ!契約解除だ!出て行け!」と言われた。」
ドケチと思われる家主からの契約解除通告メールを受け取った筆者は悲嘆にくれた。まだ2週間しか住んでいないのである。家賃の自動振込みを申し込んだばかりである。とりあえず2週間分の家賃と保証金を振り込んだばかりである(ちなみにスイスでは家賃の1ヶ月分くらいが保証金の相場である)。こんな理由で一方的に退去を命じられるものなのか。これでは詐欺ではないか。だいたい契約書にもそんな条項はない。
ここで1つ説明しておかねばならない。お湯の使いすぎだ!という理由で退去を命じられることは日本では考えられない。日本では水道・ガス・電気料金などは家賃とは別個に個人で払うものだからである。使った分を払っていれば文句は言われない。しかしスイスでは、家賃に水道・電気・暖房料金の全てが含まれているのである。つまり、家賃さえ払っていれば水道・電気は使いたい放題なのだ。ここが問題で筆者は退去を命じられたのだ。
しかしこのとき筆者はまだスイスに来て間もなかった。ひょっとするとスイス文化について誤解があるのかもしれない。まずはスイスで毎日シャワーを浴びるのが贅沢かどうかを確認せねばならない。
職場の誰に聞いても、「そんなクレイジーなお話は聞いたことがない」と言われた。
これで意を強くした筆者は、家主に攻撃的なメールを送りつけた。日本人だからといって舐められてたまるか。
「そんなに言うなら出て行ってやる。しかしこれは明らかにおかしい。大体、見学の際に「私はお風呂が好きです」ときちんと伝えていたはずだ(第1章を参照されよ)。それを今頃どうして問題にするのだ。このような契約書条項に基づかない違法な退去命令であるから、払った保証金は全額返還せよ。慰謝料をくれてもいいくらいだ。」
このメールの返事は前回とは違って簡単なものだった。
「我々は正しい。なお保証金は全額返すつもりはない。」
なんじゃ、この返事は。これでは明らかに保証金詐欺だ。独力での戦いに限界を感じた筆者は、このメールのやり取り全てと契約書をボスに転送し、助力を乞うた。
スイス人であるボスはメールを見終わるなり、こう言いきった。
「こんなクレイジーな家主は見たことも聞いたこともない」
ボスとの会談の結果、これからの戦いに関して以下の行動指針が立てられた。
1.この家主のコードネームを「クレイジーオーナー」とする
2.契約書に従えば、まだまだ住む権利はあるが、こんなクレイジーなアパートからはとにかく逃げる
3.保証金は全額返金させる
4.クレイジーオーナーからの如何なる書類にもサインしない
この会談のあと、ボスは筆者にこう言った。
「こんなクレイジーなおっさんをスイス人の典型だと思わないでほしい。」
更にはこう言った。
「我々にはお前の生活を守る義務がある。我々に任せておきなさい。」
あまりの親切に流れそうになる涙をこらえながら、筆者はボスの言葉に感謝した。
ただ、それから間もなく、筆者ですら仰天するような「クレイジーオーナー対策チーム」がボスの手によって編成されようとは夢にも思わなかった。
-以下、起死回生の次回に続く-
(初めての方はカテゴリの「スイスアパートの悲劇」をクリックの上、序章からお読み頂けるとこれ幸い)
「ドケチな家主から、「お湯の使いすぎだ!契約解除だ!出て行け!」と言われた。」
ドケチと思われる家主からの契約解除通告メールを受け取った筆者は悲嘆にくれた。まだ2週間しか住んでいないのである。家賃の自動振込みを申し込んだばかりである。とりあえず2週間分の家賃と保証金を振り込んだばかりである(ちなみにスイスでは家賃の1ヶ月分くらいが保証金の相場である)。こんな理由で一方的に退去を命じられるものなのか。これでは詐欺ではないか。だいたい契約書にもそんな条項はない。
ここで1つ説明しておかねばならない。お湯の使いすぎだ!という理由で退去を命じられることは日本では考えられない。日本では水道・ガス・電気料金などは家賃とは別個に個人で払うものだからである。使った分を払っていれば文句は言われない。しかしスイスでは、家賃に水道・電気・暖房料金の全てが含まれているのである。つまり、家賃さえ払っていれば水道・電気は使いたい放題なのだ。ここが問題で筆者は退去を命じられたのだ。
しかしこのとき筆者はまだスイスに来て間もなかった。ひょっとするとスイス文化について誤解があるのかもしれない。まずはスイスで毎日シャワーを浴びるのが贅沢かどうかを確認せねばならない。
職場の誰に聞いても、「そんなクレイジーなお話は聞いたことがない」と言われた。
これで意を強くした筆者は、家主に攻撃的なメールを送りつけた。日本人だからといって舐められてたまるか。
「そんなに言うなら出て行ってやる。しかしこれは明らかにおかしい。大体、見学の際に「私はお風呂が好きです」ときちんと伝えていたはずだ(第1章を参照されよ)。それを今頃どうして問題にするのだ。このような契約書条項に基づかない違法な退去命令であるから、払った保証金は全額返還せよ。慰謝料をくれてもいいくらいだ。」
このメールの返事は前回とは違って簡単なものだった。
「我々は正しい。なお保証金は全額返すつもりはない。」
なんじゃ、この返事は。これでは明らかに保証金詐欺だ。独力での戦いに限界を感じた筆者は、このメールのやり取り全てと契約書をボスに転送し、助力を乞うた。
スイス人であるボスはメールを見終わるなり、こう言いきった。
「こんなクレイジーな家主は見たことも聞いたこともない」
ボスとの会談の結果、これからの戦いに関して以下の行動指針が立てられた。
1.この家主のコードネームを「クレイジーオーナー」とする
2.契約書に従えば、まだまだ住む権利はあるが、こんなクレイジーなアパートからはとにかく逃げる
3.保証金は全額返金させる
4.クレイジーオーナーからの如何なる書類にもサインしない
この会談のあと、ボスは筆者にこう言った。
「こんなクレイジーなおっさんをスイス人の典型だと思わないでほしい。」
更にはこう言った。
「我々にはお前の生活を守る義務がある。我々に任せておきなさい。」
あまりの親切に流れそうになる涙をこらえながら、筆者はボスの言葉に感謝した。
ただ、それから間もなく、筆者ですら仰天するような「クレイジーオーナー対策チーム」がボスの手によって編成されようとは夢にも思わなかった。
-以下、起死回生の次回に続く-
by スイスの殿 |
by inspectormorse
| 2004-10-12 18:43
| スイスアパートの悲劇