2006年 06月 25日
【”パイプ”のポテンシャルを検証する】
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今週末にお届けするのは、あの「妄想具現化プロジェクト」のコーナーである。
筆者がスイスに来てから敬愛するようになった3人の有名人といえば・・・
ただしこの中で実在した人物は1人だけ
・・・シャーロック・ホームズ氏(写真左)にアインシュタイン博士(写真中)、それに春祭りのアイドルである”Böögg”こと雪爺(写真右)である。そしてなんという偶然か、彼らはある共通のアイテムを口にしているのだ。
そう、それは”パイプ”なのである。
・・・筆者も是非パイプを口にしたかったのは言うまでもない。
このように、筆者にとってはまさに知性と畏敬の象徴ともいえるパイプなのだが、あにはからんや、現在はまさに「嫌煙社会」なのだ。パイプも日陰の存在となりつつある。でも待てよ。パイプにはまだまだ未知のポテンシャルが隠されているのではないか。
というわけで、今回は・・・
嫌煙社会におけるパイプの新たな可能性
を探ってみることにしたのだ。非喫煙者・嫌煙家にも楽しんでいただけるパイプの新たな使用法を模索した苦闘の記録をお楽しみあれ。
【まずはパイプを買う】
そんなわけで、筆者がパイプを求めてホイホイと出かけたのがチューリッヒにあるこちらのお店。
スイス土産とタバコの専門店
・・・なにせスイス土産も扱っているので、日本人かつパイプ初心者である筆者にも入りやすかったのだ。玄関に写っているおばさんには、パイプタバコの葉からクリーニングキットまでが含まれたパイプセットを盛んに薦められたが、筆者はタバコを吸うために買うのではないので丁重にお断りしたのだった。
そんな誘惑にもめげずに購入したのがこちらのパイプである。
お値段は59スイスフラン(約5400円)。イタリア製らしい。
・・・こちらのサイトによると、このパイプの形状は「オームポール型」というらしい。やや特殊な形なのかもしれないが、この深さこそが筆者に新たなポテンシャルを予感させたのだ。
まずはこれを分解してお掃除してみる。
といっても、2つの部分に分解できるだけ(写真左)
火皿(チャンバー)部の内壁は洗っても真っ黒(写真右)
金属製のヤニ止め用フィルター部
・・・ちなみに一緒に写っている携帯用パイプレスト(パイプ立て)は別会計(19スイスフラン)である。このフィルター部、最初は妙に頼りない気もしたのだが、後に筆者はこの威力をまざまざと知ることになるのだ。
では、早速検証していこうではないか。
【1.物を置いてみる】
最初に試したのはこちら。
いつでもどこでも、携帯用”ペン立て”
・・・そう、これならば競馬場での馬券検討に、はたまた電車内での数独パズルに、いろんなシチュエーションですぐにペンが使えるではないか。それに結構お洒落だぞ。
で、早速試してみたのだが・・・
とにかく重い上に視界の邪魔
・・・あまりの重さに加えて、妙に重心が高くなってしまったせいか、しばらく咥えていると顎がしんどくなってきてしまった。おまけに視界の端にペンがちらついてどうも集中できない。ということで・・・
【筆者のお薦め度:★】
ではもっと軽いものにしてみればどうか。
そこで登場したのが”つまようじ”
パイプの深さもつまようじの長さにピッタリフィット
・・・これならばペンよりは遥かに軽い。しかもどこでもお洒落にシーシーできるぞ!と張り切ったのだが・・・
なんだか妙に不自然な体勢に
・・・そう、パイプを咥えながらつまようじでシーシーするのはチト難しいのであった。
【筆者のお薦め度:★★】
ならば、実用性ではなく芸術性を追ってみようではないか。
何故かエビアンに挿された”お花”を用意
・・・そう、今度はお洒落に花を活けてみたのだ。パイプの火皿には活けるための水も入れられるのである。その結果がこちらだ。
パイプの木目とのハーモニーが絶妙
”スイスの殿”作 「パイプに恋して」
・・・同じ植物どうしでマッチするからなのか、予想以上に華麗な仕上がりになってしまった。この活け花パイプ、その美しさに加えて、鼻の下からは花の心地よい香りが漂ってくるという”アロマテラピー効果”もあるのだ。
というわけで、皆さん・・・
新世紀のセレブのお洒落として、貴方も活け花パイプはいかがかな?
【筆者のお薦め度:★★★★】
【2.吸ってみる】
次は本来のパイプの役割に忠実な、「吸う」という行為に着目してみたい。小手調べに試したのがこちら。
コーラやワインは飲めるのか?
・・・そう、パイプに注いだ飲み物が上手く飲めるかどうかを試してみたのだ。
まずは火皿に注いで・・・
吸って飲んでみる
・・・あ、これは普通に飲めるぞ。味にもさほど変化はない。お酒に弱い筆者にとっては、これくらいのワインの量がむしろ最適なくらいである。うむ、下調べは万全だ。
【筆者のお薦め度:★★★】
下調べに気を良くした筆者は、次に本来の目的にチャレンジ!
”コーヒー”を淹れてみる
・・・いや、出来上がったコーヒーを注ぐのではなく、パイプの中でコーヒーをドリップしてみたかったのだ。では、やってみよう。
半分くらいの高さにまで、挽いたコーヒー豆を入れます
あらかじめ甘味料を溶かしたお湯を注ぎます
適当に3分ほど待ちます
では、いただきましょう
・・・あ、これは美味い! 最初の一滴を吸うのにはやや力が要るが、そこから後は実にスムーズだぞ。フィルターの絶大な威力のおかげで、コーヒーの粉が口に上がってくることもない。完璧だ。筆者のような甘党の方は、あらかじめ砂糖などの甘味料を溶かしておけば大丈夫。3回くらいはコーヒー豆を入れ替えなくても美味しく飲める。スイスでは大変だが、日本でならコンビニでお湯だけをもらうこともできるのではないか?ただ、紫煙の代わりに水蒸気の煙が出るので、タバコと勘違いされないようにするのが肝要であろう。
予想以上の出来栄え!でも後の掃除は結構大変
【筆者のお薦め度:★★★★★】
コーヒーがイケるなら、これも大丈夫なはず。
ということで、ほうじ茶パッグの登場
・・・レシピはコーヒーと同じだ。
パッグを切ってお茶っ葉を火皿に入れます
こちらにはただのお湯を注ぎます
これも適当に3分ほど待ちます
・・・では飲んでみよう。
うむ、これもイケるぞ!
・・・ほうじ茶もバッチリだった。あの細かいお茶の葉もフィルターが完全にブロック、しかもお茶の味の濃さまで薄からず濃からずで完璧である。これは本当にお薦め。
【筆者のお薦め度:★★★★★】
【3.吹いてみる】
最後に、吸うのとは逆に吹いてみるのはどうであろうか?まずはこちらから。
ポストイットの登場。さて、筆者の意図が分かるか?
・・・もうバレバレだとは思うが、これをどうするかというと・・・
細かく切って火皿に投入
・・・そう、自分で自分にカラフルな”紙吹雪”を舞わせてみたいのだ。では、吹いてみよう。
いくら必死で吹いても微動だにせず
・・・ダ、ダメだ。少なくとも筆者の肺活量ではびくともしなかった。これはスポーツマン以外にはしんどいかも。
【筆者のお薦め度:ゼロ】
紙ではやはり重過ぎたのか。ならばもっと軽く吹いてもいけそうなこちらはどうだろう?
イタリア製の”シャボン玉液”。1スイスフラン。
・・・そう、シャボン玉だ。屋根まで飛ぶくらい軽いものならなんとかなるのではないか。
まずは小手調べ。
シャボン玉液を口の広い容器に移して、火皿の先端を浸す
では、吹いてみよう。
お、膨らむ!
・・・これはイケるかもしれない。ただ、いちいち液に浸すこの方法では面倒だ。そこで・・・
火皿の部分にダイレクトにシャボン玉液を投入
・・・これで膨らめばどこでも簡単にパイプからシャボン玉が吹き出せるぞ。
で、あらん限りの力で吹いてみたのだが・・・
シャボン玉は膨らめど・・・
火皿の部分からはちっとも飛び立たず
・・・そう、実は小手調べでもそうだったのだが、膨らんだシャボン玉がパイプから巣立ってくれないのだ。ただダラダラと下に垂れるだけだったのである。シャボン玉というもの、実はそのリリースの時に最も強い息の吹きだしが必要なのだった。うーむ、惜しかった・・・。
【筆者のお薦め度:★】
・・・というわけで、結論としては・・・
「やはりパイプは”吸う”ものである」
ということが御理解いただけたのではないだろうか。よく考えてみると、吹き矢にしても何にしても、”吹く”という行為には結構強い息の吹きだしを要求されるのだ。じっくりタバコを吸うために作られたパイプには向かないらしい。しかしながら、活け花パイプや珈琲パイプなど、タバコ以外にもパイプの可能性は無限に広がっているのである。非喫煙者、嫌煙家の皆様、どうかパイプを毛嫌いせずにその新たなポテンシャルを楽しんでいただければ幸いだ。愛煙家の皆様だけのものにしておくのはもったいないぞ!
・・・呆れたに違いない嫌煙家の皆様からの御感想、激怒したかも知れない真のパイプ愛好家の皆様からの厳しい御意見など、さまざまなコメント・メールを心からお待ちしている。
本当は”こんな絵”が欲しかった筆者に同情した皆様は下のバナーをクリック!?
筆者がスイスに来てから敬愛するようになった3人の有名人といえば・・・
・・・シャーロック・ホームズ氏(写真左)にアインシュタイン博士(写真中)、それに春祭りのアイドルである”Böögg”こと雪爺(写真右)である。そしてなんという偶然か、彼らはある共通のアイテムを口にしているのだ。
・・・筆者も是非パイプを口にしたかったのは言うまでもない。
このように、筆者にとってはまさに知性と畏敬の象徴ともいえるパイプなのだが、あにはからんや、現在はまさに「嫌煙社会」なのだ。パイプも日陰の存在となりつつある。でも待てよ。パイプにはまだまだ未知のポテンシャルが隠されているのではないか。
というわけで、今回は・・・
を探ってみることにしたのだ。非喫煙者・嫌煙家にも楽しんでいただけるパイプの新たな使用法を模索した苦闘の記録をお楽しみあれ。
【まずはパイプを買う】
そんなわけで、筆者がパイプを求めてホイホイと出かけたのがチューリッヒにあるこちらのお店。
・・・なにせスイス土産も扱っているので、日本人かつパイプ初心者である筆者にも入りやすかったのだ。玄関に写っているおばさんには、パイプタバコの葉からクリーニングキットまでが含まれたパイプセットを盛んに薦められたが、筆者はタバコを吸うために買うのではないので丁重にお断りしたのだった。
そんな誘惑にもめげずに購入したのがこちらのパイプである。
・・・こちらのサイトによると、このパイプの形状は「オームポール型」というらしい。やや特殊な形なのかもしれないが、この深さこそが筆者に新たなポテンシャルを予感させたのだ。
まずはこれを分解してお掃除してみる。
火皿(チャンバー)部の内壁は洗っても真っ黒(写真右)
・・・ちなみに一緒に写っている携帯用パイプレスト(パイプ立て)は別会計(19スイスフラン)である。このフィルター部、最初は妙に頼りない気もしたのだが、後に筆者はこの威力をまざまざと知ることになるのだ。
では、早速検証していこうではないか。
【1.物を置いてみる】
最初に試したのはこちら。
・・・そう、これならば競馬場での馬券検討に、はたまた電車内での数独パズルに、いろんなシチュエーションですぐにペンが使えるではないか。それに結構お洒落だぞ。
で、早速試してみたのだが・・・
・・・あまりの重さに加えて、妙に重心が高くなってしまったせいか、しばらく咥えていると顎がしんどくなってきてしまった。おまけに視界の端にペンがちらついてどうも集中できない。ということで・・・
ではもっと軽いものにしてみればどうか。
・・・これならばペンよりは遥かに軽い。しかもどこでもお洒落にシーシーできるぞ!と張り切ったのだが・・・
・・・そう、パイプを咥えながらつまようじでシーシーするのはチト難しいのであった。
ならば、実用性ではなく芸術性を追ってみようではないか。
・・・そう、今度はお洒落に花を活けてみたのだ。パイプの火皿には活けるための水も入れられるのである。その結果がこちらだ。
・・・同じ植物どうしでマッチするからなのか、予想以上に華麗な仕上がりになってしまった。この活け花パイプ、その美しさに加えて、鼻の下からは花の心地よい香りが漂ってくるという”アロマテラピー効果”もあるのだ。
というわけで、皆さん・・・
【2.吸ってみる】
次は本来のパイプの役割に忠実な、「吸う」という行為に着目してみたい。小手調べに試したのがこちら。
・・・そう、パイプに注いだ飲み物が上手く飲めるかどうかを試してみたのだ。
・・・あ、これは普通に飲めるぞ。味にもさほど変化はない。お酒に弱い筆者にとっては、これくらいのワインの量がむしろ最適なくらいである。うむ、下調べは万全だ。
下調べに気を良くした筆者は、次に本来の目的にチャレンジ!
・・・いや、出来上がったコーヒーを注ぐのではなく、パイプの中でコーヒーをドリップしてみたかったのだ。では、やってみよう。
・・・あ、これは美味い! 最初の一滴を吸うのにはやや力が要るが、そこから後は実にスムーズだぞ。フィルターの絶大な威力のおかげで、コーヒーの粉が口に上がってくることもない。完璧だ。筆者のような甘党の方は、あらかじめ砂糖などの甘味料を溶かしておけば大丈夫。3回くらいはコーヒー豆を入れ替えなくても美味しく飲める。スイスでは大変だが、日本でならコンビニでお湯だけをもらうこともできるのではないか?ただ、紫煙の代わりに水蒸気の煙が出るので、タバコと勘違いされないようにするのが肝要であろう。
コーヒーがイケるなら、これも大丈夫なはず。
・・・レシピはコーヒーと同じだ。
・・・では飲んでみよう。
・・・ほうじ茶もバッチリだった。あの細かいお茶の葉もフィルターが完全にブロック、しかもお茶の味の濃さまで薄からず濃からずで完璧である。これは本当にお薦め。
【3.吹いてみる】
最後に、吸うのとは逆に吹いてみるのはどうであろうか?まずはこちらから。
・・・もうバレバレだとは思うが、これをどうするかというと・・・
・・・そう、自分で自分にカラフルな”紙吹雪”を舞わせてみたいのだ。では、吹いてみよう。
・・・ダ、ダメだ。少なくとも筆者の肺活量ではびくともしなかった。これはスポーツマン以外にはしんどいかも。
紙ではやはり重過ぎたのか。ならばもっと軽く吹いてもいけそうなこちらはどうだろう?
・・・そう、シャボン玉だ。屋根まで飛ぶくらい軽いものならなんとかなるのではないか。
まずは小手調べ。
では、吹いてみよう。
・・・これはイケるかもしれない。ただ、いちいち液に浸すこの方法では面倒だ。そこで・・・
・・・これで膨らめばどこでも簡単にパイプからシャボン玉が吹き出せるぞ。
で、あらん限りの力で吹いてみたのだが・・・
・・・そう、実は小手調べでもそうだったのだが、膨らんだシャボン玉がパイプから巣立ってくれないのだ。ただダラダラと下に垂れるだけだったのである。シャボン玉というもの、実はそのリリースの時に最も強い息の吹きだしが必要なのだった。うーむ、惜しかった・・・。
・・・というわけで、結論としては・・・
ということが御理解いただけたのではないだろうか。よく考えてみると、吹き矢にしても何にしても、”吹く”という行為には結構強い息の吹きだしを要求されるのだ。じっくりタバコを吸うために作られたパイプには向かないらしい。しかしながら、活け花パイプや珈琲パイプなど、タバコ以外にもパイプの可能性は無限に広がっているのである。非喫煙者、嫌煙家の皆様、どうかパイプを毛嫌いせずにその新たなポテンシャルを楽しんでいただければ幸いだ。愛煙家の皆様だけのものにしておくのはもったいないぞ!
・・・呆れたに違いない嫌煙家の皆様からの御感想、激怒したかも知れない真のパイプ愛好家の皆様からの厳しい御意見など、さまざまなコメント・メールを心からお待ちしている。
by スイスの殿 |
by inspectormorse
| 2006-06-25 00:00
| 妄想具現化プロジェクト