【歩行ピクトを数値化してみる】
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以前から筆者が気になって仕方のなかったもの、それがこちらの標識たちなのだ。
・・・そう、歩行者を表すピクトなのである。これら「真横から見た歩行者を表すピクト」のことを、筆者は勝手に”歩行ピクト”と命名しているのだが、それにしても千差万別である。かなり急ぎ足のもの、歩く気のないもの、偉そうに胸を張って歩いているもの・・・共通点は”左向き”であることくらいだ。
余談だが、歩行ピクトが全て左向きなのは、これらの国が右側通行の国ばかりだからである。ドライバーから見ればこれらの標識は右前に見えるため、左向きの方が道路に向かって飛び出してくるように見えて注意を喚起しやすいからだ。現に左側通行の日本では、歩行ピクトは右向きである。
それはさておき、同じ左向きの歩行ピクトたちなのに、なんと急ぎ具合や威張り具合の印象が違うことか。これを分かりやすいように表現することはできないものか。ということで、今回の妄想は・・・
なのだ。そこで大胆な数値化を挙行してみたのである。
【計測方法】
今回注目したのは歩行ピクトの急ぎ具合と威張り具合である。これらを表現するための手段として、以下の2つのファクターを考えてみた。
まずは実際にパソコン上の画面で分度器を使って測ってみた。
この2つのファクター、単位は同じ角度とは言え、大股度の1度と前傾度の1度を同じに考えるわけにはいかない。それぞれの最大値が違うからだ。大股度の最大値は180度であろうが、前傾度の最大値はどう考えても90度である。前傾度が180度になってしまえば、それはもはや前傾ではなくて”立位体前屈”ではないか。そこでこれら角度の最大値に対する割合を”指数”として計算することにする。つまり・・・
・大股指数=大股度÷180 ・前傾指数=前傾度÷90となる。これによれば、前傾度の1度は大股度の2度に相当することになる。
そしてこの2つの指数を足せば、どれだけ急いでいるかを表す”性急指数”が算出できるのだ。
・・・ちなみにこの指数が最大となる姿勢は、180度開脚に90度前傾、つまりハードル選手がハードルを越えている瞬間のようになる。まさに急いでいると言えよう。
逆に威張って歩いている人というのは、大股のくせに胸を張っているという特徴がある。つまり、大股指数から前傾指数を引けば、その威張り具合を示す”倣岸指数”が算出できるのだ。
・・・ちなみにこれが最低となるのは、足を揃えて90度の角度で深々とお辞儀をしている姿勢である。まさに倣岸の対極とも言える謙虚な姿勢ではないか。
というわけで、この数値化にすっかり自信を深めた筆者は、上の9人の歩行ピクトに加え、サプライズゲスト(?)1人の計10人のピクトを数値化してみたのだ。ではその結果をどうぞ。
【スイス・アンデルフィンゲンの横断歩道ピクト】
【スイス・セレーリナの横断歩道ピクト】
[右の男子] 大股度(指数):80度(0.444)、前傾度(指数):10度(0.111)
性急指数:0.555、倣岸指数:0.333
[左の女子] 大股度(指数):70度(0.389)、前傾度(指数):5度(0.056)
性急指数:0.445、倣岸指数:0.333
(ただしスカートのため大股度は推定)
である。威張り具合は同じだが、後ろの男子の方が急いでいる。
【スイス・エッグの横断報道ピクト】
【アメリカ・ワシントンDCの横断歩道ピクト】
【カナダ・トロントの横断歩道ピクト】
【カナダ・トロントの通学路ピクト】
大股度(指数):37度(0.206)、前傾度(指数):2度(0.022)である。女の子の方が偉そうではあるが、急いではいない。スイスのお子様に較べると実にのんびりしている。ただ、どちらも後ろの男の子の方が急いでいるのが、”怪しい奴に追いかけられる女子の図”に見えてしまう原因かもしれない。
性急指数:0.228、倣岸指数:0.184
(ただしスカートのため大股度は推定)
【ドイツ・コンスタンツの通行禁止ピクト1】
【イタリア・ティラノの横断歩行ピクト】
【ドイツ・コンスタンツの通行禁止ピクト2】
【カナダ・トロントの歩行者用信号機ピクト】
以上、各歩行ピクトの数値化の結果をお示ししたが、注目の性急指数・倣岸指数ランキングはこうなったのだ!
これらのグラフを見ていくと、いろんな事実が明確に読み取れる。
・忙しくて余裕がないのか、北米の人々は妙に急いでいる・・・でもこれ、全てピクトのことなのでは?と疑問に思った皆さん、確かにそうだ。でも考えてみたまえ。これらピクトはその民族が抱く歩行者のイメージが凝縮されたものである。よってその民族の文化や生活慣習を濃厚に反映しているのだ。
・例えばアメリカ人はイタリア人の2.5倍も急いでいる
・欧州の人々は威張って歩いている
・カナダの大人は子供の4倍も偉そう
・スイス人は急いでもいなければ威張ってもいない
・でもスイスの子供はカナダの子供の約2倍もはしゃいでいる
・何故か通行禁止のところを歩いている人のほうが威張っている
単にピクトとして見ただけでも、これらの指数は役立てることができる。例えば・・・
・北米の横断歩道はスイスの約1.4倍の速さで渡らねばならない
・非常口ピクトに応用すれば、最も緊急性の高い非常口を判別できる
後者の具体的な例を挙げよう。
例えば筆者の職場では以下の2種類の非常口ピクトが掲げられている。
ただ筆者の職場では、どちらの表示に従っても・・・
実際に役立つかはどうあれ、数値化は楽しい。皆さんも是非”Let's 数値化!”
最後になってしまったが、この企画の趣旨をきちんと伝えていなかったにも関わらず、快く画像を提供してくださったカナダ・トロント在住の”ぞ殿”に深く感謝の意を表して、このアホなレポートを締めたい。
・・・血液検査の数値はヤバイことになってきている筆者にいろんな御意見・御感想のコメント・メールを心からお待ちしている。
*「人気ブログランキング」におけるこのブログの数値は全く冴えません・・・。というわけで、最近分度器には縁のない貴方も、日本の歩行ピクトの結果が知りたい貴方も、以下のバナーをクリックしていただかないと、筆者が貴方を”数値化”します。いろいろ測らせてください。