【只今改装工事中?】
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1月下旬、筆者のアパートに1通のお知らせが舞い込んだ。アパートの屋根にある雨樋を交換すると言う。確かにアパートの玄関の近くでは、雨などが降ると大量に水が滴り落ちていた。きっとその真上の雨樋が壊れていたのであろう。
そのお知らせには、「雨樋交換の為に足場を設置します。設置作業中は騒音が生じますがご勘弁ください。尚この足場は3週間設置される予定です。」と記されてあった。
2月に入ってすぐに工事が始まった。先ずは足場作りからである。この作業は急ピッチで進んだ。こんな風に足場が組まれて、
さて、この足場を固定するために筆者の部屋のベランダの壁には物凄い穴が開けられて、金属製の杭がぶち込まれていたりもしたのだが、ここは別に筆者の持家ではないのでどうってことはない。
そして足場設置完了の次の日には即座に金ぴかの新しい雨樋が設置されたのだ。これで作業は御終いである。この間わずかに1週間だ。「意外に早いな。足場もすぐに撤去されるのだろう。」と筆者はほくそえんだのであったが・・・
この足場、既に6週間目に突入した今でもこのままなのだ。
かと言って、雨樋交換の次の日からは作業員など誰も来ていないのである。網などは既にところどころ外れていたりするのだが、全く直してもいない。完全な放置プレイである。
この足場、誰でも登ろうと思えば簡単に登れる。これを登ればどの部屋のベランダにも侵入可能である。防犯上非常に好ましくない。何故にさっさと撤去してくれないのか?現に向かいの部屋のイタリア系おばさんはかなりの「いらち」(これは大阪弁か?)なので、既に相当の御立腹である。
この話を同僚にしたところ、同僚のアパートでも似たことがあったことを知らされた。そのアパートでは壁の塗装作業をしていたらしいのであるが、作業初日に壁の上部だけペンキを塗られて(しかも実質作業時間は10分ほど)、作業員は消えてしまったのである。あとは次の日か、と思ってみても次の日もその次の日も来ない。上部のペンキは下のほうに向かってだらしなく垂れ下がったまんまなのである。そこで同僚が問い合わせの電話をしたところ、
「あー、す、すまん。忘れとった。」
と返答されたらしい。スイス人は見かけによらず、後片付けが下手糞というか、嫌いなのか??
これは他の道路工事を見ても思うことである。昨日の例は言うまでもない。
実はスイスの隠れた名物は「工事」なのである。どの街でも至る所で工事が行われている。これは実際の工事が多いことを意味してはいない。単に「工事現場」が多いことを意味しているのだ。よく見てみると、何かしらの作業をしている工事現場は意外と少ないのだ。放置されているところも結構あるのである。
昨年の春、チューリッヒ中央駅の前の道路と停留所が改修された。フリーペーパー「20 minuten」によれば夏に完成予定のはずだった。道路を掘り起こすのは早かったが、その後はノンビリとしたものだった。秋頃からせわしなく動き出し、結局工事が終了したのは晩秋だった。
筆者のアパートの近所の橋も舗装改修工事が行われていた。これも掘り起こすのは早かった。しかしその後はまともに作業しているのを見たことがない。工事のお知らせの看板を見ると、工期はなんと11ヶ月になっていた。こんな狭い面積の舗装工事に11ヶ月も掛かるものなのか?彼らが動き出したのは11ヶ月を過ぎてからのことである。結局完成には1年以上もかかったのだ。
日本の年度末の工事も噴飯ものであるが、こちらの工事はその上をいっている気がしてならない。年度末どころか、常にどこかで工事現場が生まれているのだ。舗装工事がようやく終わった道路が1ヶ月もしないうちにまた掘り返されていることすらあるのだ。
これはひょっとしてスイスの雇用促進策なのであろうか??
・・・とは言うものの、スイスの工事に負けず劣らず悠長な筆者にコメント・メールをお待ちしている。何でもいいから送ってきてくれると嬉しい。というか、送れ。